オオタカがいる森の管理

 オオタカ営巣地の森林管理について、下記指針が参考になる。

 

猛禽類保護の進め方 (環境省)
「オオタカ営巣地での開発、土地利用改変に対し、オオタカ保護のために国の指針として事業者が行うべき検討内容、手順を示している。」

 一連の調査、検討等に専門家の参画を求め、現地の自然環境や猛禽類の状況に詳しいNGO等の協力を要請する事が望ましい。

 

 営巣中心域では森林の開発は避ける必要がある。営巣期(2~7月)における人の立入りは、オオタカの生息に支障をきたす恐れがある。林業については択伐や非繁殖期(9~12月)の小面積の伐採は可能と考える。この場合でも、営巣木の周辺50m以内は、営巣の障害になる木やつる類以外は伐採しないようにするとともに、作業道の設置は控える。伐採、皆伐等での営巣林の分断化は避ける。できる限り長伐期施業を行い、営巣に適した大径木や枝振りの良い木の育成、保残に努める。飼育期間中の幼鳥の食物確保のため、間伐など適度な育林作業、広葉樹の導入を行い、自然環境および生物の多様性維持に努める。自然林は採餌環境保護のため、できるだけ保全する。

神奈川県オオタカ保護指導指針 (神奈川県)

「猛禽類の保護の進め方(環境省)に基づき、オオタカの繁殖活動に影響を与える可能性がある土地利用や各種開発等の行為について、神奈川県として実施主体事業者による配慮を促し、オオタカ保護を図るためのものである。」

 営巣木から半径400mの範囲を推定営巣中心域とし、その中での森林の伐採、地形の改変、土地の埋立造成等で生息環境が著しく改変又は消失する行為に対し、「猛禽類保護の進め方」(環境省)に拠り、県は事業者へオオタカ繁殖への配慮を喚起する。猛禽類の専門家やその土地のオオタカの生態に詳しい人に事前相談、「猛禽類保護の進め方」に準じたオオタカ行動圏調査、猛禽類の専門家を含む複数の専門家からの助言(委員会方式が望ましい)等を求める。営巣中心域は1236ha程度、安全率を考慮し、営巣木から半径400mを目安に(推定)営巣中心域をする。

オオタカの営巣地における森林施業1998年 前橋営林局編 日本林業技術協会)
オオタカの営巣地における森林施業22008年 関東森林管理局編 日本森林協会)
「オオタカ営巣林での森林の管理、オオタカ生息環境改善に対する指針である。」
 森林施業をしている現場での注意事項で、(森林施業をしていない笹窪谷では適用外)

・営巣中心域での留意点
 オオタカの生息上支障のある全ての行為は制限する。営巣木から半径200300mは、営巣期(2~7月)の立入を制限する。8月は人力による下草刈りなどの軽微な管理作業は可能であるが、騒音を伴う機械を用いた作業は禁止する。天然林の伐採は禁止する。木材生産を目的とした人工林では択伐は非繁殖期(9~1月)に限り可能である。営巣地が1個所しかない営巣林では皆伐は控える。択伐は30%以下とし、営巣木の周辺50mは営巣に支障となる木やつる類以外は伐採せず、作業道の設置も控える。長伐期施業を行い、営巣に適した大径木の育成に努める。間伐等の適度な育林作業で、森林空間の確保、広葉樹導入による自然環境および生物の多様性維持に努める。
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